より速いプログラミング、より速い加工
ANDREAS STIHL 社 AG & Co.KG ヴァイブリンゲン(ドイツ
STIHL社、hyperMILL® とBEST FITオプションで試作をスピードアップ
STIHL社の試作およびサービス部門のCNC製造では、過去2年間、OPEN MINDのCAD/CAMシステムhyperMILL® を使用してきました。これにより、効率が向上しました。5軸マシニングセンターの高速プログラミングに加え、この効率アップに大きく貢献しているのが、hyperMILL VIRTUAL MachiningモジュールとBEST FITオプションです。この機能により、ワークの位置合わせが驚くほど簡単になり、正確な加工が実現します。
STIHL社のチェンソーは、その特徴的なオレンジ色から、林業従事者なら誰もが知っています。ヴァイブリンゲンに本社を置くSTIHL社は、1971年の創業以来、チェンソーのグローバルマーケットリーダーであり続けている。
その原動力は、同社のホームページにもあるように、"人々が自然の中で働きやすくすること "である。新しい技術で顧客の付加価値を創造するために、強いイノベーションの文化が培われている。ドイツのヴァイブリンゲンにある本社の技術開発センターが重要なのはこのためだ。ここでは、700人以上の開発者が分野を超えて共に働いている。
プロトタイプ、小ロット製品、初期サンプルは”積層造形とCNC加工チーム”で作成される。チームリーダーのボリス・マトゥシュカ氏は、そこで実施される作業についてこう説明する:「設計開発部門が仮想的に作成した部品やコンポーネントを、アルミニウム、マグネシウム、鉄、真鍮、プラスチックで製造します。これらは新製品の基礎となるプロトタイプのテストに使われます。つまり、初期機能テストの時間をできるだけ短くするために、私たちのチームは、さまざまな製造作業において非常に柔軟で迅速でなければならないのです。」
部品は可能な限りフライス加工や旋盤加工で加工される。加工設備としては同時5軸マシニングセンター2台、3+2軸マシニングセンター3台の他、多軸ワイヤー放電加工機1台など、最新鋭のものが取り揃えられている。製品形状がフライス加工に適さない場合は、アディティブ・マニュファクチャリングも活用する。マトゥシュカ氏は、「粉末材での加工にはレーザービーム溶融法、ポリマー材での加工には選択的レーザー焼結法を用います。」と説明する。「これらの積層造形部品は通常、必要な機能寸法と面品位を確保するために、NC加工などの後処理を必要とします。」
「hyperMILL への投資は成功でした。プログラミングの効率が上がり、機械の稼働率が大幅に向上しました。このため、現在、他の機械でも使用できるように、ソフトウェアの使用範囲を広げています」
マトゥシュカ氏はこう総括する
ボトルネックになるNCプログラミングはもういらない
5軸加工は多くの場合、一度のクランピングで完成部品が得られるため、小ロット生産や試作向けとしては理想的な技術と言え、そこで求められるのは、トラブルの無い信頼性の高いNCプログラムである。チームリーダーのマトゥシュカ氏は言う。「以前のシステムでは、プログラミングに多くの時間を要したため、自社の生産能力を超えた際には、外部業者に委託しなければなりませんでした。」
そうした背景もあり、新しいCAMシステムの導入が決定された。そして、担当チームは最適なCAD/CAMソリューションを探し始めた。4つのシステムが予備選考に残り、そのうちの2つが大規模なテスト段階に入った。
エンジニア兼プログラマーのベンジャミン・グルーバー氏が例を挙げて説明するように、将来のパートナーとして選んだOPEN MIND Technologies AG社(ドイツ、ヴェスリング)は、すでにここで優位に立っていた:「hyperMILL CAMシステムには、5軸プログラム用の極めて革新的な "オートマチックインデックス"機能があり、複数方向からの割り出し加工のプログラムを一つのジョブで作成することができます。この機能により、同時5軸加工を想定して作成されたプログラムを、スイッチ一つで割り出し加工を対象としたものに変換することができました。OPEN MINDは、私たちの要望を受け入れてくれ、適切なソリューションを開発してくれました。」
2つのシステムの比較
STIHL社は、残る2つのCAMベンダーに、それぞれのソフトウェアの実力値を中立的に比較するため、ベンチマークを依頼した。
OPEN MIND Technologies AG社の金型製作およびプロトタイピングのテクニカル・キーアカウント・マネージャー兼アプリケーション・スペシャリストであるステフェン・フォルカーがこのタスクを引き受けた。ベンチマーク対象となったのは、同時5軸を用いた干渉回避が多分に必要となるクランクケース部品だった。小径工具で加工しなければならない薄いリブも難題だった。フォルカーは「hyperMILL を使用することで、加工時間とプログラミングに要する時間を短縮することができました」と振り返る。
グルーバー氏は、システムの使いやすさを高く評価している。2週間の基礎トレーニングを受講し終えた時点で、彼はすでにソフトウェアに慣れ、5軸加工のプログラミングはもはや問題ではなくなっていた:「hyperMILL は5軸機能を豊富に取り揃えており、ほぼ自動に近い操作感でプログラミングできます。その迅速さこそが、このCAMシステムの大きな強みです。」
エンド・ツー・エンドのソリューション - CADから機械まで
これまでSTIHL社の試作部門では、シミュレーションシステムや工具データベースなど、様々なソフトウェア・ソリューションを必要としていた。hyperMILL は、そのすべてを提供する。
hyperMILL CAD/CAMソフトウェアの一部であるVIRTUAL Machiningモジュールは、他のシステムが備える機能と一線を画している。いわば、NCコード生成とNCコードシミュレーションの要であり、様々な機能の基盤でもある。
インテリジェント・コンポーネント・アライメント
STIHL社にとって、積層部品に対する追加工時の位置合わせが容易であることは特に重要だった。
グルーバー氏は、かつての様子をこう語る:「以前は、NCプログラムの条件に合わせてワークとクランプを調整していました。つまり、プログラミング時に定義している理論上のワーク配置に合致するように、繰り返し手作業でワークの位置合わせをしていたのです。積層造形部品は個体ごとの公差が大きいために、これは避けられないプロセスでした。」
hyperMILL BEST FITでは、リアルタイムアライメントがCAM上で直接行われる。機械上でワークに対する3Dプロービングを行い、計測ポイントをCAMシステムにフィードバックする。他のことは、すべてソフトウェアが実行する。フィードバックされた情報を元にNCコードが実際のワーク配置状況に合わせて変更される。変更後のNCコードは改めてVIRTUAL Machining上でシミュレートされ、さらには自動的に最適化される。安全で正確な加工を保証するため、機械オペレーターが最終的な検証測定を行ったうえで加工を開始する。
フライス加工とプログラミングのスペシャリストであるグルーバー氏はこう語る:「これで時間を大幅に節約できます。正確なシミュレーションのおかげで、干渉なく加工が行われ、最終的に希望通りの結果が得られることも確認できます。」